打倒アクア「ノートe-POWER」はこうして生まれた 日産社内で使用した企画書 (2/5ページ)

2017.2.11 16:07


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 手持ちのリソースで30年ぶりのヒット商品ができた--国内戦略がほぼ空っぽだった日産がもう一度国内回帰するには、非常に有効なきっかけになる。ノートe-POWERにはそういう意義もある。

 プリウス・アクアとの違い

 “ハイブリッドカー”と聞いて、多くの人がまず頭に描くのはトヨタのプリウスだろう。ノートe-POWERがプリウスと違うのは、タイヤを駆動するのはモーターだけで、エンジンが発電専用となっている点だ。つまり従来のノートで「唯一無二の動力源としてクルマの全ての走りをまかなってきた」HR12型エンジンは、発電動力としてしか使わない。こうした「エンジンは発電、モーターは駆動」という役割分担型ハイブリッドをシリーズ型と呼ぶ。ノートe-POWERは国内初のシリーズ型ハイブリッドとしてデビューした。

 余談だが、プリウスのように「エンジンもモーターもタイヤを駆動する」タイプはパラレル型ハイブリッドと呼ぶ。日産は駆動をモーターのみにすることにこだわった。それはモーターがエンジンよりも素養が素直で、扱いやすく運転していて楽しいからだという。このモータードライブの新しい価値提案については後でじっくり深掘りしよう。

 ノートe-POWERの商品企画

 さて、e-POWERのベースになぜノートが選ばれたのだろうか? つまり「ジュークe-POWER」でも、「マーチe-POWER」でもなく、ノートe-POWERになったのはなぜかを考えてみよう。

 マーチ、ノート、キューブ、ジュークという日産の小型車ラインナップの中で、ノートは室内空間の広さを求めるユーザーへの訴求を目的に企画されたクルマだ。4台のキャラクターはそれぞれ異なり、マーチなら廉価を、ノートなら室内空間を、キューブとジュークはそれぞれ方向性は違えどデザイン性の高いキャラクター感を特徴とするスペシャリティカーになっている。つまりe-POWERの母体にノートが選ばれた背景には4人乗車という実用の想定があり、キャラクター性よりも、保守本流の小型車を作ろうという意思があったと考えられる。

電気自動車かハイブリッドか?

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