
サバを刻んでイカゲソと交ぜたメンチカツの製造工程=千葉県南房総市千倉町【拡大】
水産加工会社として軌道に乗せる一方、漁業で栄えた地元・千倉が年々寂れていくことに心を痛めていた。75年頃には20隻を数え、1日に1000トンの水揚げがあったという大型船は現在ゼロ。船の乗組員が食料品や日用品を買い求め、栄えた地元商店街にも往年の活気はなくなった。
「千倉で行われている定置網漁ではその水揚げの2、3割がゴマサバをはじめとする未利用魚」と鈴木社長は説明する。元漁師として、せっかく穫れた魚が飼料として二束三文で引き取られていくことに歯がゆさを感じていた。
◆年収アップを
「付加価値を付けることで未利用魚に少しでも高い値が付けば、漁師の年収が100万円、200万円変わってくるかもしれない」。そう考えて2015年ごろ、ゴマサバを使った新しい加工食品づくりへの挑戦を始めた。
ゴマサバは脂の乗りが悪く、生臭くて加工に向かなかった。味の面でも、取引のあるレストランのシェフらにアドバイスを請いながら、おいしく加工するための研究を重ねた。16年「サバのゴマ竜田揚げ」が完成。同年販売したところ、フライパンで簡単に調理できる手軽さと味が受け、評判も良いという。
ゴマサバ以外にも傷みが早い「シイラ」を新鮮なうちに調理した「ひとくち海鮮カツ」のほか、小型のアジを使ったアジマリネ、アジから揚げ、アジ南蛮漬け、郷土料理の「さんが焼き」など新商品開発に余念がない。