三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長が、業績不振を受け引責辞任に追い込まれた。伊勢丹出身の大西社長は経営立て直しのため、リストラを模索していたが、石塚邦雄会長ら三越出身者の反発を招いたことが背景にある。トップ交代で表面化した社内対立に、業界内では「また“お家騒動”か」との見方も少なくない。
三越伊勢丹HDの幹部は7日、今回のトップ人事について「経営体制を一新し、企業価値の向上を図るため」と説明した。
だが、「一新する」と言いながら、石塚会長は6月下旬の株主総会まで続投するという不可解な人事。石塚氏の後任は同時に発表できず、6月までに選定するという“ドタバタ”で、突然のトップ交代による混乱ぶりを強く印象付けた。
トップ交代にまで発展した社内対立の発端は、大西社長が表明したリストラ案だった。
大西氏は昨年11月、機関決定していないにもかかわらず、伊勢丹の松戸店(千葉県松戸市)と府中店(東京都府中市)、松山三越(松山市)、広島三越(広島市)の4店を構造改革の対象に挙げた。