
JR東海が全面刷新した浜松工場の検査・修繕ライン。複雑な形状のため、人力で行っていた先頭車の「研ぎ作業」も自動化された=1月13日【拡大】
ロボットの大量導入に加え、車体や部品を移動させる動線もシンプルに再構築した結果、1編成16両の検査に要する期間は、従来の15日間から14日間へと短縮された。
田中雅彦工場長は、工期短縮の意義について「車両の運用が楽になる」と説明する。つまり、“ドック入り”中の編成が減る分、より少ない編成数でより多くの列車を走らせることが可能になるわけだ。
鉄道のイメージ一新
柘植康英社長は、国鉄分割民営化から30年目に始動したこの新ラインについて「鉄道のイメージを変えるハイテク工場。次の30年に向けた重要施策の一つだ」と胸を張る。
また、JR東海は浜松工場の大幅な効率化に加え、4月からは「交番検査」の周期も「45日または走行距離6万キロ以内」と1.5~2倍に延ばす。各装置の状態を、走行中に常時データ収集して解析する仕組みを新たに取り入れる。
一連の効率化により、検査に必要な人手が少なく済むようになる効果は大きいだろう。
JR東海は“浮いた人手”をどこに回すか明らかにしていないが、10年後に迫るリニア中央新幹線の東京-名古屋間開業に備え、リニアのメンテナンス要員を確保する対策の一つともみえる。それならば、「利益を生まない」検査工場への巨額投資は、今後30年を見据えた「人への投資」と位置付けることもできそうだ。(山沢義徳)