
第6世代の集大成として2巡目のトップバッターとなった新型CX-5。約1ヶ月で目標の約7倍となる1万6639台を受注した【拡大】
この輪廻を断ち切るための現実的なスタートは新車の値引きをしないことだ。しかし、ただ販売店に値引きを禁じれば良いというわけにはいかない。そんなことをメーカーが販売店に強要したら独禁法違反でアウトだ。なので、値引きをしないで売れるためには何がどうあるべきかを根底から考えなくてはならない。
値引き勝負をしないためには、クルマの価値を認めてもらうことだ。幸いなことにマツダには歴代ロードスターという成功例があった。ロードスターを買うユーザーは、安いから買うわけではない。ロードスターの価値を認めて、まず商品に惚れ込み、その上で懐具合と相談する。「4人乗れて動く安いヤツ」を探しているわけではない。しかし、商品として極めて個性的なロードスターならともかく、ほかの基幹車種をどうやってそのパターンに持ち込むのか? それは相当に難しいことに思える。
第6世代商品群を作るにあたって、マツダはまず走りとスタイルに個性を持たせた。全員に好かれようと考えるのを止めて、2%の人がどうしても欲しいクルマを作ることにした。ロードスターに範を取り、全マツダ車の位置付けをそう再定義したのだ。そんなことをして大丈夫なのだろうか?
実は、世界の新車販売台数は約1億台だから、2%は200万台になる。2017年3月期のマツダの通期販売見通しは155万台だ。だから2%は決して諦めの数字ではなく、むしろ野心的な数字とさえ言える。それができるかどうか以前に、誰にも好かれようとして無難なクルマを作っても、それを販売力で押し切れないことは既に長い実績が証明している。それがダメだということだけはハッキリ結論が出ているのだ。