
火力発電事業の完全統合で基本合意した東電HDの広瀬直己社長(左端)と中部電力の勝野哲社長(中央)ら=28日、東京都中央区【拡大】
東京電力ホールディングス(HD)と中部電力は28日、火力発電事業の完全統合で基本合意したと正式に発表した。2019年度前半をめどに、共同運営会社「JERA(ジェラ)」に既存の国内火力事業を移す。国内の火力発電能力の約半分を担う世界最大級の燃料調達・発電事業者が誕生する。一体運営することで競争力を高め、発電コストを削減する。
両社は東京都内で記者会見し、東電HDの広瀬直己社長は「海外事業の活発化による大きな収益を期待している。JERAを通じて福島への貢献を果たしたい」と述べ、中部電の勝野哲社長は「国内のエネルギー需要の伸び悩みなどに柔軟に対応するため、統合が必要と判断した」と語った。
JERAは両社が15年に設立し、液化天然ガス(LNG)の調達や海外の発電事業を段階的に移管してきた。ともに原発再稼働のめどが立たず、火力が発電の主力になっている。送配電や販売事業は引き続き東電と中部電が別々に運営する。
国内火力の発電能力は東電が15カ所約4400万キロワット、中部電は9カ所で約2400万キロワット。JERAのLNG調達量は世界最大級で、統合により火力の発電規模は世界トップクラスとなる。
東電の経営改革を議論する経済産業省の有識者会合は、福島第1原発事故の賠償や廃炉などの費用が計約22兆円に倍増すると試算。東電は費用をJERAの利益で補う。