
激しく炎を上げて燃え続けるコスモ石油の千葉精油所のLPガスタンク=2011年3月11日、本社チャーターヘリから【拡大】
しかし、元売りの窓口に問い合わせると「混乱していて。申し訳ないが…」と断られるばかり。業界最大手JXエネルギーの仙台製油所、コスモ石油千葉製油所が爆発炎上。関東近郊の製油所の多くも地震の揺れで緊急停止するなど、業界の被災影響も深刻だった。
「頼む…」。必死で要請の受け入れ先を探す小野氏の受話器の先から「わかりました」との声が返ってきた。
「秋田経由でタンクローリーを出します。山越えだから時間がかかるかもしれませんが」。出光興産だった。
第一便は病院向けのA重油、灯油など4~8キロリットル。その後も同様の案件が数件寄せられたが、震災当日に要請に対応できたのは出光だけだった。出光は他の元売りに比べ製油所の被害が軽かった。ただ、あれだけの非常時に余裕などあるはずはなく、小野氏は「民族系元売りの意地のようなものを感じた」と振り返る。