
燃費不正問題を受けた社内改革についての記者会見の冒頭で頭を下げる山下光彦副社長=13日、東京都港区【拡大】
三菱自動車の燃費データ不正問題で、エコカー減税を不正に受けた約90億円のうち、3月末時点で半額程度が納付されていないことが16日、分かった。同社が肩代わり納付するために必要なユーザーからの「委任状」の提出に時間がかかっているためで、20日で不正発覚から1年を迎えるのを前に、同社は「今後も責任を持って支払っていきたい」としている。
同社によると、ユーザーが燃費データの不正により受けたエコカー減税の総額は約90億円。このうち約5割に当たる約40億円を今年3月末現在で支払ったが、残額が未納になっている。
自動車の燃費性能に応じてユーザーが払う自動車取得税や自動車重量税などを減免するエコカー減税で、今回の不正により減額された分は、同社が国や都道府県に納付することになっている。この際に、納税義務を負うユーザーが同社に委任状を提出しなければ納付できないものもある。
委任状提出に時間がかかっている理由について、自動車業界関係者は「エコカー減税はユーザーへの賠償と違って、個人の利益にならないからではないか。三菱自動車ももっと積極的に委任状を回収すべきだ」と指摘する。