
キュア・アップの佐竹晃太代表取締役社長兼CEO【拡大】
CureApp禁煙は、医師の診察の間に患者を支えるアプリとして開発されている。毎日の生活習慣や喫煙状況を記録し、クラウド経由で医師と共有できるほか、心理療法的アプローチをアプリに組み込み、ただ励ますだけでなく、具体的なアドバイスを提供する。
◆生活習慣踏まえ助言
例えば、朝起きた時にたばこを吸う習慣がある患者の場合、「朝は洗面所で吸うなら洗面所に行かないようにしましょう」とか、禁煙2日目で禁断症状が出てきた患者には「ガムを用意してすぐ噛(か)めるようにしましょう」というようにアドバイスを送るという。また、botとのチャットを通して患者の喫煙に対する考え方を探り、間違った部分があれば動画で正しい理解を紹介するといったように、認知行動療法を用いた治療も行えるようになっている。身体的依存に効果を発揮する禁煙補助薬と、心理面をフォローするCureApp禁煙を併用することで、禁煙の継続効果をより上昇させられるという。
同アプリは、17年4月の時点で臨床試験の最終段階に当たる介入試験の終盤に突入している。中間段階での評価は7月に慶應大から論文として発表されるが、「一般的なパッチタイプの禁煙補助薬と同等程度の成果を報告できる見込み」(同社長)としている。今後、1~2年かけて治験を行い、順調に進めば18年末頃に薬事承認を取得する(処方可能となる)という。
さらに、治療用アプリは開発費が数億円程度と、一般的な医薬品の開発費(1000億円~)より安い点や、副作用がなく安全な点も特徴だ。患者が負担する価格について同社長は「薬や医療機器の処方時の価格は中央社会保険医療協議会が決めるため、申し上げることはできない」と前置きしつつも、「治験によって禁煙補助薬と同等の成果を出せたのであれば、従来薬の半額程度で提供できるようにしたい」と話した。