こうした中で、最近では明治安田生命と同様に限定社員の昇進ポストを改善する動きも増えつつある。
イオン伏見店(京都市伏見区)で店長を務める兼松真紀(49)は、同社で初めて、地域社員から店長に昇格した。京都府や大阪府、奈良県、滋賀県など10店舗で勤務経験を持つ兼松は、地域の消費性向を熟知した関西の“プロ”だ。
パート出身の副店長
運営するイオンリテールは20年前から地域限定制度を導入していたが、当時、昇格は店の課長が上限だった。同社は今年2月、人事制度を変更し、転勤のない地域社員が店長や部長などに昇格しやすくなる仕組みを本格的に取り入れた。「地域密着の経営を推進する上で、地域をよく知る人材が経営を担うことが当然」(同社)と説明する。
また、全社員の約8割を地域のパート社員が占めるイトーヨーカ堂は、優秀なパート社員を段階的に正社員に登用する制度を14年に導入。パート出身の副店長も誕生した。イトーヨーカドーアリオ北砂店(東京都江東区)で副店長を務める吉永京子(53)は「自分でキャリアを選べるメリットは、長く働き続ける上で大きい」と話す。
転勤による従来型のキャリア構築や人材育成とともに、地域の優秀な人材を発掘して囲い込むことも企業にとっては重要だ。働き方をめぐる社会構造の変化で、企業の人事施策には一層の柔軟性が求められる。(敬称略)