
退任会見するローソンの玉塚元一会長(左)。右は竹増貞信・代表取締役社長=4月12日、東京都港区(伴龍二撮影)【拡大】
新浪氏から期待もされ、ローソン社内では従業員らに一定の支持もあった玉塚氏だが、ローソン大株主である三菱商事の「上層部とウマが合わなかった」(小売り業界関係者)との声もささやかれた。後ろ盾となってきた新浪氏もサントリーに転出し、「玉塚氏は焦燥感を強めていった」(同)とみられる。
三菱商事は今年2月にローソンを完全子会社。玉塚氏自身は会長退任を発表した会見で、「三菱商事の子会社になったのでバトンタッチする」としたが、親会社(三菱商事)出身の竹増貞信社長が経営を主導すべきだとして「二頭体制は良くない」と発言。ローソンが竹増社長の「一頭」体制に名実ともに移行することで、三菱商事が経営を主導する色合いが一層鮮明になることを示唆していた。
小売り大手や企業再生分野での経営経験を重ねてきた玉塚氏。さまざまな業種と会社を渡り歩いてきた玉塚氏だが、今度はまったく異なるIT分野での仕事となる。玉塚氏は退任会見では、「新しいことをやりたい。あまり間をあけず次に突入する。経営の現場でまだまだやりたい」とプロ経営者として挑戦を続けていく強い意欲を表明していたが、その手腕は未知数だ。