
王子HDが量産するCNFシート【拡大】
将来的には自動車への採用を目指している。軽くて強いCNFを樹脂に混ぜ、車体の素材に使えば、安全性と燃費性能を高レベルで両立でき、環境負荷も減らせる。このため官民挙げて研究が進められており、日本製紙は6月に富士工場(静岡県富士市)でCNF樹脂の実証設備を立ち上げる方針だ。
製紙各社が相次いで量産に乗り出す背景には、深刻な紙離れがある。日本製紙連合会によると、今年の国内需要は11年連続でマイナスとなる見通しだ。経済成長が続く新興国ならまだしも、人口減や電子媒体の普及に直面する国内では、増加は望めそうにない。原料調達や製造のノウハウを生かせて、ビジネスを拡大できるCNFへの期待は大きい。
課題はコストだ。現状では1キロ当たりで数千~1万円とされるが、自動車に採用されるには500円にまで引き下げる必要がある。日本製紙の馬城社長は「パルプから紙を作る技術に加えて、木材成分を活用するバイオケミカルでも高度な技術を蓄積してきた」と語り、課題克服に意欲をみせる。(井田通人)