
ベトナム初の地下鉄工事で使うシールド機を紹介する清水建設国際支店ホーチミン地下鉄建設所の河合信之所長=5月25日、ホーチミン市【拡大】
オペラハウスの目と鼻の先にはサイゴン川が流れ、付近の地盤は1メートル掘ったら水があふれ出るほど軟弱。回りにはフランス植民地時代から続くホーチミン人民委員会庁舎や老舗ホテルも立ち並び、どれも基礎工事が不十分という。
気を配る先の一つが、歴史的建造物だ。「建物への影響を最低限に抑えてほしい」というホーチミン市の要求に応えるため、オペラハウスの横を地下約30メートルまで掘り進め4階建ての駅をつくる方式を選んだ。駅の中には、上下線2本のトンネルが縦方向に垂直に並ぶ形で慎重に掘られる。
まさに難易度の高い工事だが、清水建設国際支店ホーチミン地下鉄建設所の河合信之所長は表情に自信がみなぎっていた。「さまざまな地層に適応し間隙を縫うように細く掘る技術は日本が一番。中国や韓国には負けない」と胸を張る。
5月29日には、シールド機(掘削機)が地盤を削り取りながらトンネルの壁を組み立て進む工事が本格化。掘削機はオペラハウスの周辺も通ることから、同社などは事前に掘削が地盤に与える影響を予測し、それを基に掘削の場所の土をセメントで固めた。掘削が地盤沈下を引き起こす原因とならないよう、取り出す土の量にも目を光らせる。
安全意識も徹底
気配りは現地の作業員にも向けられている。日本並みの高い安全意識を根付かせることが狙いだ。
ベトナムの高速道路公社から受注した長大橋梁(きょうりょう)の工事を進める清水建設国際支店ベトナムビンカイン橋建設所の中村智樹所長も「工期、安全、品質の3本柱を追求できる組織力が日本の強み。それらを支えるのはすべて人だ」と強調する。