
ベトナム初の地下鉄工事で使うシールド機を紹介する清水建設国際支店ホーチミン地下鉄建設所の河合信之所長=5月25日、ホーチミン市【拡大】
今回の地下鉄工事には、共同企業体のスタッフ約140人のほか、約500人の作業員が携わる。掘削の未経験者ばかりだが、日本企業との仕事で経験を積んだ台湾や香港の技術者も加わって手取り足取り教えている。
作業員の1日のはじまりは、ベトナム語による午前7時半のラジオ体操だ。その後、安全管理のスタッフらから業務の手順の説明を受けた作業員は、さらに少人数のグループに分かれて内容を細かく確認する。
作業員が持ち場についた後も、管理スタッフが巡回する念の入れようだ。清水建設の東京本社などが品質管理や安全対策をサポートする態勢も整える。
さらに日本語教室など、日本に親近感を感じてもらうための企画にも余念がない。これらが奏功して無事故の期間は、4月末に約470万時間に達した。
ホーチミン市人民委員会のグエン・タン・フォン委員長は「事故ゼロで2020年に開通してほしい。市の社会と経済の発展に貢献できる」と期待感を示す。
記者が泊まったレックス・ホテルに隣接する工事現場の塀には「VIETNAM-JAPAN」と書かれた看板があり、両国の国旗が描かれていた。通り掛かった日本人観光客が誇らしげに記念撮影することも。
技術移転の実績だけでなく現地作業員との間に芽生えた絆も、世界のインフラ市場を開拓する上で大きな武器となるに違いない。(産経新聞社経済本部 臼井慎太郎)