このように言うと、「マネジャーが部下のモチベーションファクターに合わせなければならないのか」「合わせるのは部下ではないか」という声を聞く。私の答えは、「合わせるスキルを持っている方が合わせればよい」ということだ。マネジャーが部下に合わせる、その方が部下のパフォーマンスが上がり、チームのパフォーマンスが上がるのだから、躊躇(ちゅうちょ)せずにそうすればよいだけなのだ。
「部下が言うことを聞かない」「若手がとんでもないことを言う」「経営者についてこない社員が悪い」と言って部下を切り捨てることはたやすいが、それでは組織づくりができないことは、自明と言わざるを得ない。
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【プロフィル】山口博
やまぐち・ひろし グローバルトレーニングトレーナー。慶大卒。サンパウロ大留学。第一生命保険、SAP、PwC、KPMGなどを経て、リブ・コンサルティングで組織開発事業部長を務める。横浜国立大学非常勤講師。著書に「チームを動かすファシリテーションのドリル」(扶桑社)。55歳。長野県出身。