制作に当たっては、フォントよりも視認されやすい「手書き文字」に全てのデザインを近づけた。小さくしても潰れないよう、濁点や半濁点は大きく、線1本1本の間隔は広くした。
文字全体のバランスを見直したほか、フォントごとに細かいこだわりも。「明朝体や、長体をかけるゴシック体は、横線が潰れないよう10%刻みで線の太さも調整しています」(澤村さん)。
社会の変化で需要が拡大
近年ではフリーフォントや凝ったデザインのフォントも増え、雑誌で特集が組まれるほど。そんな中であえて「読みやすい文字」を作り、駅などに広めているのはなぜか--園田さんによると、その背景には「日本社会の高齢化」があるという。
「読みやすい文字はこれまで、金融や医薬品など、読み間違いが人生を左右しかねない現場で必要とされてきました。しかし、高齢化によってその需要が社会全体に広がってきています」(園田さん)
また、2020年に開かれる東京五輪・パラリンピックも、同社がユニバーサルデザインフォントに注力する一因になっている。増加する訪日客向けに多言語表記が求められるようになり、「誰にでも読みやすい文字」の需要が日本語に限られなくなったからだ。
モリサワはすでに中国語の簡体字や、韓国語(ハングル)のユニバーサルデザインフォントを販売している。新たに、画数の多いアジア圏言語のフォント制作も検討しているという。