毎朝見てたのに…知らない間に変わっていた駅の“アレ” 制作会社「気付かれなくていい」 (3/3ページ)

 本音は「変化に気付かないで」 せっかく作ったのに、なぜ?

 だが、いくら読みやすくなったとはいえ、フォントの違いに気付く人はそう多くはないだろう。実際モリサワでも「気付いた人から反響をもらうことはほとんどない」という。ならばなぜ、新しい文字の普及に取り組み続けるのか。

 「人は無意識でも文字を“読みにくい”と感じると、足を遠ざけることがあります。読みやすい文字の普及は、そうした文字に関わるネガティブな側面を潰すこと。文字を通して社会貢献するという、モリサワの意義そのものです」(園田さん)

 数あるフォントの中でもユニバーサルデザインフォントは、モリサワの自信作。弱視の人でも読みやすいようヒアリング重ねてその意見を反映したり、「読みやすさ」が自己満足にならないよう実証実験を行ったりと、さまざまな工夫を凝らしている。

 しかし、そうした数々の工夫を含めて「本当は、文字の変化なんて気付かれなくていいんです」と園田さんは笑う。

 「読みやすい文字というのはストンと頭に入ってきて、どこが変わったとか何が違うとか、そういうことは気にされないものなんです。だからむしろ、気付かれては困る」(園田さん)

 こうして今日もどこかで、文字は「ユニバーサルデザイン」に置き換わっている。それこそ私たちの気付かぬうちに、街中が2020年に向けてアップデートしていくのかもしれない。