
池上彰・東京工業大学特命教授(右)。映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』トークイベントの様子【拡大】
最初に本を読んだ当時30代の私が、レイ・クロックに持った印象は、「こんなことまでして金儲けをするのか」でした。でも今回の映画では、「この人のおかげで、現在の私たちの外食生活もあるのだな」と考え直しました。そして「こういう人がいるからアメリカの資本主義は発達するのだな」とも……。個人的には知り合いになりたくない人ですが(笑)。
さらにいえば、仕事のない人たちに雇用を生み出した一面もあります。映画でも「ユダヤ人なのに聖書を売っているのか」というシーンが出てきます。金を持っている社交クラブの知人ではなく、切羽詰まっている夫婦に店を切り盛りさせて、店のスタッフなど多くの人の雇用市場を創ったのも彼の功績でしょう。それぞれの人の問題意識によって、「そうか、ビジネスを成功させるためにはこうするのか」を気づかせてくれる映画です。
私自身は54歳でフリーになりましたが、事業をシステム化させて拡大させることなど考えたことはなく、「ニュースをわかりやすく解説」することでほそぼそと生きていこうと思いました。その意味では、店舗の急拡大に反対して、目の届く範囲で店を深掘りしようとしたマクドナルド兄弟に共鳴しています。
人気女子アナは「私はちょっと……」
レイ・クロックは事業家として画期的な成功を収めましたが、ひとりの男性としては、苦しい時代から支えてくれた “糟糠(そうこう)の妻”を捨てて、“トロフィーワイフ”(勝者の証しとして獲得する妻)と結婚した一面もあります。テレビの情報番組で共演し、トークショーでも一緒になった、テレビ東京の相内優香アナウンサーは、そこに抵抗感を持ったようです。