「メーカーにとって怖いのは、品切れです。コンビニエンスストアを中心に小売店からの欠品ペナルティーを恐れ、そのため過剰気味に見込みで製造するのが当たり前になっています。食品業界には“3分の1ルール”という暗黙のルールがあるのですが、これは製造日から賞味期限までを3分割して、納入期限は製造日から3分の1まで、販売期限は製造日から3分の2までを限度としています。3分の2を過ぎると店頭では売れなくなってしまうのです。長年の習慣なので、すぐに廃止することは難しいのが実情です」
KURADASHIを始めるにあたって、関藤さんは食品メーカーを一社一社訪問してプレゼンを続けてきた。ブランドイメージと市況に影響を及ぼさない、そんな都合の良いビジネスモデルが本当にあるのか、信用を勝ち取るまではなかなか事業が進まなかった。しかし、地道に説明し、不安を払拭できた結果、半年で100社の賛同を得るまでになったのである。
▽メーカーから商品を売り込んでくるケースも
ユニークなのは、KURADASHIでは買い物で自動的に寄付ができることだ。商品ごとに支援金額が設定されており、購入時にユーザーの希望する社会活動団体に寄付される仕組みになっている(支援金は商品代金に含まれている)。余剰食品を買うことで、家計も節約できるし、誰かを助けることもできるわけだ。
「社会貢献を行っていることで、お客様からも共感していただき、頑張ってくださいといったメッセージをいただきます。『これまでは売り場でケースの奥から牛乳を取っていたんですが、食品ロスにつながるのでやめます』という声もありました。応援の意味を込めて、月額324円がかかるプレミアム会員(送料無料)になってくださる方も多いです」