関西電力美浜原発(福井県)などで今夏から廃炉作業が始まった。各地で原発が老朽化、本格的な「廃炉時代」を迎えつつある。原発の新増設を見通せない関連大手メーカーは、3兆円規模とされる「廃炉ビジネス」市場に注目。廃炉作業では広い業界に商機があるとされ、地元企業の間からも期待の声が上がる。一方で大手に独占され蚊帳の外に置かれることに不安も強い。
「原子力メーカー、大手ゼネコンや地元建設会社との厳しい競争が予想される」。三菱重工業の担当者が“激戦”を予想した。三菱重工業は2015年に廃炉専門部署を新設。フランス原子力大手アレバと協力し、計画立案から実際の作業までカバーすることを目指す。
東芝、日立製作所とともに日本の三大原発プラントメーカーの一つの三菱重工業。8月には美浜1号機の除染作業を実施した。東京電力福島第1原発事故後、原発の新増設を期待できない状況が、廃炉ビジネスを注視する背景にある。
経済産業省によると、事故があった福島第1原発や事故前から廃炉が進んでいた原発を除いた試算で、廃炉ビジネスは「3兆円規模」とされる。
「これまで原発を建設してきた。解体も自分たちの仕事だ」。中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県)の廃炉作業で原子炉を除染する装置を受注した日立の担当者が訴えた。浜岡の2基の原子炉は東芝が納入したが、除染装置は入札で日立が担うことになった。