
新商品を紹介する湖池屋の佐藤章社長(左)と小池孝会長。プレミアム路線を推し進める=8月7日、東京都千代田区【拡大】
そうした中、改革の旗手に抜擢(ばってき)されたのが、キリンビバレッジで缶コーヒーの「FIRE(ファイア)」や「生茶」、「アミノサプリ」などのヒット商品を次々生み出し、“伝説のマーケター(市場調査に基づいて商品開発・販売促進を行う人)”と異名をとった佐藤氏だった。大物歌手のスティービー・ワンダー氏を口説き落とし、FIREのCMソングに起用したエピソードは業界の語り草だ。キリンビバレッジ社長を務め、湖池屋へ昨年転身した。
新商品の開発で「サプライズ」を重視する佐藤氏はまず、老舗をイメージさせる和風のロゴマークを導入し、続いてラインアップ刷新に着手。「プライド」シリーズは発売3カ月余りで2000万袋、約25億円の売り上げを記録し、品薄が起きるほどのヒット商品となった。
「クラフトビールやサードウェーブコーヒー、本格派チョコレートに高級アイスなど、世の中の『プレミアム志向』を、スナック菓子の世界にも波及させる」。佐藤社長は、商品戦略の基本方針をこう説明する。
一連の新商品による販売単価上昇に伴い、湖池屋の業績はV字回復する見通しだ。2018年6月期は連結売上高が前期比10%増の334億円、営業利益は95%増の6億7000万円に上るとの業績予想を8月11日に発表した。
それでも、ライバルの背中は遠い。