
マツダの新世代商品群(3代目アクセラ、3代目アテンザ、4代目デミオ、CX-3、CX-4、CX-5、初代後期からのCX-9、4代目ロードスター)【拡大】
マツダはこういう人間工学に基づいた基礎研究を繰り返し、人を座らせるための原則を作り上げた。クルマのサイズや車高によって、座面のサイズや高さは変わるが、人体の構造は変わらない。そういう原則をしっかり研究して、その「公式」を全てのクルマに適用する。デザインにおけるコモンアーキテクチャーとはそういうことだ。
情報認知はどうだろう? 運転中に計器を見る。メーターもあれば、液晶画面に示される車両情報もあり、ナビもある。こうした視認情報に使われる文字は、ほとんどのクルマでバラバラなフォントが使われている。高速で移動しているクルマの中では、文字を早く読み取ることが求められる。フォントの統一は読みやすさのために重要な問題だ。ただ格好良いからという理由で、凝ったフォントを使うことはドライバー中心ではない。機能と見た目どちらを優先するかは言うまでもない。マツダはこのフォントを統一し、情報をゾーニングして運転時に常時必要な情報と、それ以外を分別した。
人を最適に座らせ、認知しやすい情報環境を整えること。当たり前のことのようだが、それでもマツダはようやくそこに到達した。これに関しては、他社との比較において明らかに頭ひとつ抜き出たと言える。
マツダブランドの埋没をどうやって防ぐか
さて今度はクルマの形である。以前の記事(参考:トヨタを震撼させたマツダの”弱者の戦略” http://president.jp/articles/-/22042)で、マツダがフォードに放り出されて、8車種のエンジンとシャシーを一気に新設計しなくてはならなくなったことについて説明した。同じタイミングでデザインにも新たな課題が突きつけられていたのだ。「マツダブランドの埋没をどうやって防ぐか」という課題である。
リーマンショックが起こった2008年、マツダの世界生産は135万台。世界のトップを争うトヨタ、GM、フォルクスワーゲンが1000万台の三つどもえ戦に入る頃、マツダの生産規模はその程度でしかなかった。トヨタの小型車・アクアの国内単月販売数はピークで3万5000台。しかしマツダの最量販車種であるデミオは、ピークで9000台に届かない。