
テスラがパナソニックと共同で運営する米ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」(テスラ提供・共同)【拡大】
すでに、世界のリチウムイオン電池市場の半分以上を握っているといわれる中国では、政府が電池メーカーの助成政策に力を入れている。一方、米ネバダ州にギガファクトリーと呼ばれる、年間ギガワット時(100万キロワット時)以上の電池製造能力を持つ工場をパナソニックと共同で建設中のテスラも、新たなギガファクトリーの建設を発表した。中国に対抗し、テスラが主導権を握ることは可能だろうか。
電池事業でも存在感
テスラは、航空宇宙事業、太陽光事業を関係会社で手掛けていたが、太陽光関連メーカーを合併により取り込むなど、事業範囲を拡大している。電池事業については、EV用だけでなく送電系統に設置する8万キロワット時の蓄電装置をカリフォルニア州に導入している。
同様の蓄電装置を、風力発電量の増加による停電に悩むオーストラリアの南オーストラリア州に、テスラのイーロン・マスクCEOがツイートを通じて売り込んでいたが、同州は今年4月に蓄電装置の入札を実施した。10カ国以上から90を超える入札があったが、テスラが落札したと7月に州首相から発表された。設備能力は12万9000キロワット時。送電系統に設置される世界最大の蓄電装置になる。今までは、サンディエゴ・ガス・アンド・エレクトリック社に設置された12万キロワット時の設備が世界最大とされていた。
マスク氏は南オーストラリア州の首相に対し、契約締結後100日以内に蓄電池を系統に設置するとツイッターで述べていたが、テスラはこの約束を実行すると落札後に表明している。
ただ、この事業については、問題は採算だとの指摘もある。この蓄電装置を使って電力市場で電力の売却を行う、あるいは周波数調整サービスを行うことが想定されるが、全ての収入を合計しても投資額には見合わないとされている。採算面を考慮すると設備の導入を正当化するのは難しいので、停電の発生に対し対策を取ったことを示す必要があった南オーストラリア州政府の政治的な理由での導入ではないかとの見方も出ている。系統に導入されるバックアップ用の蓄電池の需要は増加しているが、今後、ケタ違いの需要増が期待されているのはEV用のリチウムイオン電池だ。