【山本隆三の快刀乱麻】かつては日本が世界一だった… EV拡大で“バッテリー勝者”になった中国 (4/4ページ)

テスラがパナソニックと共同で運営する米ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」(テスラ提供・共同)
テスラがパナソニックと共同で運営する米ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」(テスラ提供・共同)【拡大】

 20年時点で、世界のEV用リチウムイオン電池製造能力は現在の6倍以上の1億7350万キロワット時に達すると予想されることから、中国のシェアは6割を超えることになる。

 テスラもギガファクトリーの新設を予定しているが、うち1カ所は中国・上海といわれており、世界の電池工場は中国に集まることになる。20年時点の中国以外のEV用リチウムイオン電池製造能力は、米国3800万キロワット時、韓国2300万キロワット時と予想されており、かつて1位だった日本は登場しない。

 テスラを擁する米国が世界2位のシェアを維持するなかで、日本での製造がゼロになるのは寂しい限りだ。電池事業は、自動車産業とも密接に関係しているが、世界の流れを見失うことなく、セルの部品以外にも、付加価値が高い部品や製品の出荷が増えてほしいと願うばかりだ。

 ■EV用電池メーカーのランク(2015年第1四半期)

        製造量(メガワット時)

 パナソニック 888

 AESC   361

 BYD    196

 GSユアサ  135

 LG化学   114

 サムスン   105

 万向集団    62

 ※出所:EV report

                  ◇

 ■EVの販売実績(単位:1000台)

 (2015年/16年)

 中国     207.38/336

 米国     113.87/159.62

 ノルウェー   35.61/ 50.18

 英国      29.34/ 37.91

 フランス    22.95/ 29.51

 日本      24.65/ 24.85

 ドイツ     23.19/ 24.61

 オランダ    43.77/ 24.48

 スウェーデン   8.59/ 13.42

 カナダ      6.96/ 11.58

 ※出所:国際エネルギー機関

【プロフィル】山本隆

 やまもと・りゅうぞう 常葉大学経営学部教授。京大卒業後、住友商事に入社。地球環境部長などを経て、2008年プール学院大学国際文化学部教授、10年から現職。財務省財務総合政策研究所「環境問題と経済・財政の対応に関する研究会」、経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。現在、国際環境経済研究所所長、NEDO技術委員などを務める。著書に『経済学は温暖化を解決できるか』(平凡社)、『夢で語るな日本のエネルギー』(マネジメント社)など。