日本の石炭火力、カギ握るIGCC 「パリ協定」背景に発電方法でCO2の“逆風” (2/3ページ)

常磐共同火力が運営する勿来発電所のIGCC=9月、福島県いわき市佐糠町大島
常磐共同火力が運営する勿来発電所のIGCC=9月、福島県いわき市佐糠町大島【拡大】

 さらに、2013年から高効率の石炭ガス化複合発電(IGCC)の商用運転を開始した。石炭を高温でガス化してタービンを回すほか、排ガスの熱で起きる蒸気も利用して効率を引き上げ、従来型に比べてCO2排出量を約15%削減している。細田所長は「IGCCで温暖化防止にも役立てる」と話した。

 経済産業省によると、石炭火力は14年時点の発電費用が1キロワット時当たり12.3円(CO2対策費含む)。LNGの13.7円、石油の30.6~43.4円よりも安い。さらに、供給地域もオーストラリアやインドネシアなどに分散し、中東依存度の高い石油などよりも安定している。

 このため原発事故や昨年4月の電力小売りの全面自由化を踏まえ、安価な電源として脚光を浴び新増設の計画が相次いだ。14年度以降の新増設計画は約40基、計約1800万キロワットに上る。

 だが、16年にパリ協定が発効し、日本は温室効果ガスを30年度に13年度比26%、50年度に80%削減する目標を掲げる。石炭火力は発電1キロワット時当たりのCO2排出量が約863グラム(日本平均)と、LNG火力の約375~476グラムの約2倍に上る。

 採算性にも疑問符

 新増設が進めば目標達成は困難になる。環境省は8月に、中部電力の武豊火力発電所(愛知県)の重油火力から石炭火力への建て替え計画の見直しを求めるなど厳しい立場を取る。

海外でも石炭火力、厳しい状況に