
トヨタ自動車がスポーツカー新ブランド「GR」を発表。デモ走行に臨む豊田章男社長=9月19日、東京都江東区(寺河内美奈撮影)【拡大】
お題は「モリゾウってどうよ?」。つまりは「ボス」であり、レースの仲間である豊田社長をどう評価するかというシビアな質問だ。登壇者がパネルに回答を書いた後、豊田社長が予告なしに“サプライズ登場”し、会場を沸かせた。
「クルマばか」との評価について、司会から「クルマ好きの上を行く、ほめ言葉。うれしいのでは?」と聞かれた豊田社長は「そうね」と、まんざらでもなさそうに笑顔を見せた。
GRのキャッチフレーズは「IGNITE(イグナイト)」。日本語で「着火」を意味し、人々の心の奥底にあるスポーツカー魂に火をつけたいとの思いが込められている。
社長の登場は部下たちの心にも「火をつけた」のか。トークショー終了後の報道陣との質疑応答で、友山氏はWECについて「来年も最上位クラスに参戦していきたい」と大胆にも宣言した。
これに対し、そばにいた豊田社長は「どうせ社長の言うことは誰も聞かない会社ですから」と笑い、ゴーサインを出した。
トヨタは世界販売で首位を争う一方、環境対応車など「優等生」とも言えるクルマが目立ち、卓越した速さや耐久性を競うモータースポーツの世界で存在感は薄かった。
WRCには1970年代に参戦したが、自動車レース最高峰のF1を目指したことに伴い99年に撤退。2002年から参戦したF1では、一度も優勝できないままリーマン・ショック後の09年に退いた。記者会見では専務が涙ぐみ、豊田社長も厳しい表情を見せた。