世界の最先端を走るべく投資を先行してきた企業だけに、各種の利益率は低水準にとどまり、最終赤字(純損失)も珍しくはなかったが、1兆3500億円まで売上規模を拡大させてきたクラウド事業(アマゾン・ウェブ・サービス事業)が、確実に利益を生み出すようになってきた。
日本における売上高は、米国、ドイツに次ぐ。推移は8703億円(14年)、9090億円(15年)、1兆1876億円(16年)と右肩上がりだ。17年1月~6月の半年決算でも、世界売上高は20%を超す伸びを示しており、日本での販売も同じ上向き傾向を示していると見ていいだろう。
そのアマゾンが、法人向けの購買専用サイト「アマゾンビジネス」の運用を今年9月から日本で開始した。15年にスタートした米国ではすでに、100万社以上の顧客を獲得。16年にはドイツ、17年4月には英国で開始しており、日本は4カ国目である。
アマゾンの競争力の源泉は「2億種」といわれる圧倒的な品ぞろえだ。さらに低価格や即日配送などの利便性も提供する。それに加え、アマゾンビジネスでは、文具・オフィス用品などの販売で「数量割引」「月末締めの請求払い」といった新しいサービスを提供することで、法人客の囲い込みを狙う。
アマゾンは1000円売ると30円儲かる
法人向け通販に本格参入したアマゾンと真っ向から競合する日本企業はアスクルだろう。同社はアマゾンとは対照的に、オフィス用品の翌日配送サービスというBtoBでスタート。現在はヤフーの子会社で、この数年は個人向けの「LOHACO」事業を本格化させている。
法人向け通販では、大塚商会がオフィス向け通販事業「たのめーる」、コクヨが通販事業子会社のカウネットを展開していて、これらへの影響も想定される。直近の年次決算における売上高は、アスクル3359億円、「たのめーる」事業1460億円、カウネット938億円だ。