NHK「ネット同時配信」実現になりふり構わず 新たな受信料あっさり撤回 “方針転換”に伏線 (4/4ページ)

NHKが2019年度の「常時同時配信」開始時に受信料徴収の見送りを表明した総務省の有識者会議。野田聖子総務相(手前右から2人目)も出席した=9月20日、東京・霞が関
NHKが2019年度の「常時同時配信」開始時に受信料徴収の見送りを表明した総務省の有識者会議。野田聖子総務相(手前右から2人目)も出席した=9月20日、東京・霞が関【拡大】

 しかし高市氏は既に8月の内閣改造で退任。後任の野田聖子総務相はこれまでのところ、受信料値下げについての積極的な発言はない。

 NHKが常時同時配信の実現に向けて多額の費用を使うことになれば、値下げがさらに遠のく恐れがある。

 常時同時配信が実施できるかどうかは、総務省が「放送法」を改正するかにかかっている。昨年秋までは省内にもNHKの意向を認める空気が強く、今年1月招集の通常国会に改正案を出そうとする動きもあったほどだ。だが高市氏がゴーサインを出さなかったため、実現しなかった。

 19年度からの常時同時配信の実施には来年の法改正が必要とされる。22日の衆院選を受けた新たな与野党勢力のもとで議論が始まる。NHKや民放関係者を巻き込んだ激しい駆け引きが必至とみられるが、受信料値下げの機運が再び高まるかは不透明だ。(高橋寛次)