神戸製鋼の株式を所有している主な企業の代表は、大株主として名を連ねている新日鉄住金、日本生命、みずほ銀行だ。それに三菱マテリアル、大同特殊鋼、丸一鋼管、淀川製鋼所、関西電力、電源開発なども所有。ゼネコンの大林組、鹿島、西松建設の3社はいずれも、簿価が10億円台に相当する122~185万株を所有している。
利子をつけて返済しなければならない有利子負債は7969億円。主な借入先は日本政策投資銀行、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行などで、そのほか取引銀行が設定している融資枠の残りとして約1240億円ある。
神戸製鋼は以前から新日鉄住金とは資本業務関係にある。ただし、12年10月に新日本製鉄と住友金属工業が経営統合、新日鉄住金としてスタートするにあたっては、独自路線を歩むことを選択。事業の多角化で企業の継続成長を目指す、とした経緯がある。
事実、赤字に陥りやすい鉄鋼事業や建設機械事業を、アルミ・銅、電力事業でカバー。とくに、自動車用アルミ材は、軽量化を進める自動車メーカーがボンネットやドアに採用を増やす傾向にあり、神戸製鋼の業績アップに貢献すると期待されていた。
不正発覚で業界再編、事業のバラ売りも
「鉄とアルミ」--自動車の向けの鋼材やアルミ製品の両方を手がける企業は世界でただ1社、神戸製鋼に限られる。半面、それぞれの事業規模となると、ライバル企業に劣る。
神戸製鋼の鉄鋼事業の売上規模は6000億円弱。4兆円強の新日鉄住金や約1兆5000億円のJFEホールディングス(HD)には遠く及ばない。鉄鋼業の指標である粗鋼生産量でも、新日鉄住金とJFEHDとは大差がついている。
鉄鋼メーカーの象徴である高炉を運営する国内企業は、新日鉄住金、JFEHD、神戸製鋼、日新製鋼の4社だが、日新製鋼が新日鉄住金グループに入ったことで、神戸製鋼は国内最小の高炉メーカーになった。今年の11月からは高炉1基休止し、2基体制に移行した。