【臼井】そのやり方なら、現場の従業員と本社との距離感も縮まりますね。私は就任以来、週に1度、店舗でコーヒーを淹れています。コメダは毎日来られるお客さんへの居心地を重視しています。ドリンクやパンメニューなどを提供しながら、究極の売り物は「空気感」なのです。店舗で働くと、数字やデータではわからない空気感が体感できます。4年続けていると、私を「マスター」と呼んでくださるお客さんもいる。そう言われると、ゾクゾクするほどうれしい。定点観測しているので、もし本部社員が、現場の実情に合わないプロモーション企画を立てても、「何だこの企画は」と言えます。
生まれも育ちも、社長としての経歴も対照的な2人だが、共通する部分も目立った。その1つが現場主義で、もう1つが海外駐在経験だ。次回は「海外経験と出世」の話も含めて、2人の意識を深掘りしてみよう。(後編に続く)
※後編は明日11月12日に配信します。
小池利和(こいけ・としかず)
ブラザー工業 社長。1955年愛知県一宮市生まれ。実家は小池毛織(当時)の一族。早稲田大学政治経済学部卒業後、79年にブラザー工業に入社。米国駐在を希望して自ら手を挙げる。82年ブラザーインターナショナル(U.S.A)に出向し、渡米(その後、滞米生活は23年半に及ぶ)。主力がタイプライターから情報機器に移るなか、米州プリンティング事業の拡大に尽力した。44歳で同社社長に就任。2005年に帰国し、本社常務。07年にブラザー工業社長に就任。米国時代からの愛称は「テリー」。社内ブログ「テリーの徒然日記」を発信し続け、連載1000回を突破。休日はブログのネタづくりを兼ねて社寺探訪や野球観戦などを行う。
臼井興胤(うすい・おきたね)
コメダ珈琲店 社長。1958年愛媛県松山市生まれ。小学校を転々とし、主に東京育ち。都立富士高校から防衛大学に進学。中退後に一橋大学に入学して同校卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)でMBA取得。本社企画部勤務などを経て、ゲーム会社のセガに転職。以後ベンチャーキャピタル、ナイキ、日本マクドナルドCOO(最高執行責任者)を経て、セガに復帰して社長に就任する。グルーポン東アジア統括副社長を歴任した後、2013年7月にコメダ社長に就任。休日の気分転換は早朝に大型バイクで疾走することと渓流釣り。
(ブラザー工業 社長 小池 利和、コメダ珈琲店 社長 臼井 興胤 司会進行・構成=高井尚之(経済ジャーナリスト) 撮影=上野英和)(PRESIDENT Online)