
日本空港ビルデングと双日が運営に参画する現在のパラオ国際空港(双日提供)【拡大】
パラオは台湾と外交関係を樹立しており、中国とは国交がない。しかも、パラオは「自由連合盟約」を結ぶ米国に安全保障を委ねている。米国はパラオを軍事利用できるほか、第三国の軍事施設を排除することもできる密接な関係だ。
ただ、太平洋諸国に詳しい塩沢英之・笹川平和財団主任研究員は「中国が民間資本を使って影響力を強めてくることはあり得る」と分析する。
ある関係者は、今年10月の中国共産党大会で権力を掌握した習近平国家主席の下、「新興国を中国へなびかせようとする気配がある」と指摘。実際、同6月には中米パナマが台湾と断交し、中国との国交を樹立した例もある。この関係者は「台湾承認国に対し、民間企業を通して影響力を強め、後に揺さぶりをかけることは十分考えられる」と分析している。
中国人客の急増はパラオに大きな経済効果をもたらしたが、韓国では、在韓米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備をめぐる中韓関係の悪化から中国人客が激減。経済と政治・外交を結び付けようとする中国政府の「意図」をうかがわせた。こうした動きにパラオは警戒感を抱く。
パラオでは東急不動産がリゾートホテル「パラオ パシフィック リゾート」を運営。NECもパラオやミクロネシア連邦向けに大容量の光海底ケーブルを計3ルート建設する計画だが、日系企業の進出はまだそれほど多くない。
日本が太平洋の親日国を大切にしなければ、経済面からこれらの国々への中国の影響力は強まりかねない。今回の空港ターミナル事業の受注をきっかけにパラオの重要性を見直すべきだろう。(上原すみ子)