
東急不動産などが本格販売を始めた「ブランズ六本木ザ・レジデンス」のモデルルーム【拡大】
六本木ザ・レジデンスなど超高級マンションは「既に転売や賃貸運営などでは採算が取れない高価格」だ。バブル期のような投資目的ではなく、地方の会社経営者や医師などの富裕層が自身の別宅として買い増しするなどのケースが多いという。
競争激化で差別化
億ション市場がマンション販売で一定のボリュームゾーンを占めるようになった局面変化の中、不動産各社の動きも激しさを増す。
野村不動産は10月、最高14億3000万円の「プラウド六本木」(総戸数35戸)の入居を開始した。三井不動産は東京・南青山で最高15億円のタワー型マンション「パークコート青山ザ・タワー」(同163戸)を18年に完成させる予定だ。
東京建物は皇居を臨む千代田区一番町に18階建てのタワーマンションを開発。東急も都心部の億ションを年間1、2件ずつ手掛ける計画だ。
各社はライバルとの差別化に知恵を絞る。東急の幹部は「(高級住宅街の)千代田区番町エリアというだけではなく、『番町の中の何番地』までこだわって希少性を出すほか、エリアをきめ細かく評価しながら用地選定を進める」と打ち明ける。
東急は中期経営計画で、17~20年度に2000億円を投じ、16年度に1560戸だったマンション販売戸数を1800戸まで高める。都心シフトの加速で目標達成を急ぐ構えだ。
とはいえ、人口減少が本格化する中、首都圏マンションは供給過剰にならないのか。
不動産経済研究所の松田忠司主任研究員はこう分析した。
「高齢化の中でも、利便性の高い首都圏への流入が続く。今後は用地取得も難しくなるとみられるため、当面は価格も緩やかな上昇傾向をたどるのではないか」(佐久間修志)