「その内容は価格に伴っているか」 “日本一”のラーメン店「蔦」だからこそできた値下げ (4/8ページ)

 醤油ダレにはあえて雑味を加えることで、ラーメンにとって必要不可欠な「適度な品の悪さ」を演出している。スープは、3種類の出汁をそれぞれ別の寸胴で作り、それらの出汁を、提供する直前に丼で合わせるトリプルスープ。具体的には、青森シャモロック・熊本天草大王・名古屋コーチンの丸鶏を使用した出汁、大量のアサリから採った出汁、昆布・乾物などから採った出汁の3種類だ。

 そして、「蔦」を一躍有名にしたのが、黒トリュフオイルの使用。

 「これまでは相当な分量のトリュフオイルを使っていましたが、『新味』への変更を機に、大幅に減量しました。またそのトリュフオイルを、単なる香り付けではなく、うま味の一部としてスープに溶け込ませることで、シンプルなおいしさを目指しました。また、オイルを減らした代わりとして、新たに黒トリュフパウダーを採り入れてみたのです」

 「蔦」のラーメンの代名詞とも言われているトリュフの使い方でさえ、状況次第でこともなげに変える。この柔軟な発想力と、それを確実に具現化できる圧倒的な技量こそが、「蔦」を日本一たらしめる所以なのだ。

 これが日本が誇るラーメンだ

 素材だけではない。もちろん、肝心の味の方も秀逸だ。

 黒トリュフのオイルにトリュフパウダーを重ね合わせる「トリュフ・オン・トリュフ」の技法により、丼がテーブルに置かれた瞬間から艶やかに宙を舞う圧倒的な芳香を実現。丼に箸を付ける前から、「あ、このラーメンはハイレベルに違いない!」という確信を食べ手に抱かせるとともに、食欲を狂おしいほど掻き立てる。

 先述のとおり、スープは、味が濃厚でうま味成分が一般の鶏肉よりも格段に豊富な青森シャモロックを主軸に据えながら、アサリ、乾物などの魚介類を寄り添わせることで、奥行きと残響感のあるうま味を演出。「今回の『新味』では、意図的に乾物の存在感を強調してみました」との大西氏の言葉どおり、これまでの「蔦」のラーメンとは比べ物にならないほど大量の出汁が、乾物からにじみ出ている。単なる食べ手の一人である私でさえ、「見よ、これが日本が誇るラーメンだ!」と胸を張ってしまいたくなるほど、力強く頼りがいのある和風味だ。

料理人の存在意義は、ゼロからレシピを生み出すこと