AI時代に最も重要なのは「論点を立てる力」
筆者が外資系企業に勤めていた頃、米国人の上司がいつも言っていたのは「日本人は与えられた問題を解くのは得意だが、自分で問題を設定するのは下手だ」ということでした。
この上司は「日本のバブル崩壊後の長期低迷の主因は、課題設定能力不足にある」と主張していたくらい、日本人のスキル不足を問題視していました。
「欧米企業が設定したテーマを自らのテーマとして追いつくだけでよかった時代には、日本企業は最強であったが、自ら未来のテーマを設定しなければならない時代には、日本企業は国際社会から取り残される」と辛辣なコメントをしていたことは、いまでも強烈な記憶として残っています。
実際に、国際的にも日本人の多くは課題や問題の設定が不得意であると指摘されています。
そうした課題設定を学ぶには、クリティカル・シンキングを身につける必要があります。これは「批判的思考法」とも呼ばれるもので、現状から課題を見出し、現状を分析したうえで、解決の仮説を立て、検証し、実行することです。論理的に思考していくことも求められますが、最終的には与えられた問題を解決していくだけではなく、自ら合理性の高い問題設定や課題設定を行い、それらの解決策を見出すことができるようにしていくのがクリティカル・シンキングなのです。
クリティカル・シンキングにおいて、自分で課題や問題を設定することを「イシューを立てる」「論点を立てる」と言います。