クラフトボスが大ヒットした納得の理由 「ちょっと薄味」「太い容器」「クラフト感はどこ?」→全て戦略だった (2/4ページ)

サントリー食品インターナショナルでクラフトボスのブランドマネジャーを務める桜井弓子さん
サントリー食品インターナショナルでクラフトボスのブランドマネジャーを務める桜井弓子さん【拡大】

 「缶は保存食のイメージがあるという声が上がったのです。さらに分析を進め、同じ保存食でも缶詰とビン詰めでは、透明かどうかで受ける印象が違うことに気付きました。それでペットボトル容器を採用することで中身が全て透けて見えるようにし、フレッシュ感が伝わるようにしました」(桜井さん)

 さらに前出の中山さんによると、ペットボトルにしたことでコンビニコーヒーの顧客を一部取り込めたと言及する。

 「コンビニコーヒーの挽きたての美味しさにはかなわないかもしれませんが、クラフトボスはキャップ付きなので便利。飲み切れなくてもカバンに入れられますし、アイスの場合は氷で味が薄くなるということもありません」(中山さん)

 味わいもひと味違う。これまで缶コーヒーは、エナジードリンクの要領で気を引き締めるシーンで飲まれてきたこともあり、濃いテイストのものが割合多い。これに対して、クラフトボスはさらっとした飲み口だ。

 「飲んだときに、一般的な缶コーヒーよりちょっと薄いと感じませんでしたか? 実はあえて、するする飲める味わいにしています」と桜井さんは話す。

 「新種のコーヒーとして、濃い味わいより、すっきり飲める口当たりを意識しました。容量もたっぷりあるので、ちびちび飲んでも飽きません。購買データを見ると、これまで水やお茶を購入していた『コーヒーを飲んでいなかった層』にも届いています」(桜井さん)

◆ボトルは「あえてポテッと」

 味わいについては、商品名に冠された「クラフト」らしさも気になる。

 話題を呼んだテレビCMでは、上司役の堺雅人氏と、ミレニアル世代の社員がコミカルに掛け合い、新たな働き方が前面に押し出される一方、商品のクラフトマンシップには全く触れられていない。クラフトボスというネーミングになった経緯について聞いてみた。

 「クラフトビールを中心にしたブームは意識していました。正直、最初は深掘りできていない中で『丁寧に手作りしている』『多くのプロセスを踏んでいる』といった意味合いでクラフトボスとネーミングしようという案がありました」(桜井さん)

「このボトルも決してスタイリッシュではなく…」