電力9社、送配電事業で連携へ 全国で融通し需給の安定化を狙う

 東京電力ホールディングスなど大手電力9社が、送配電事業で連携の検討に乗り出したことが23日、分かった。全国規模で電力を融通し合って、需要と供給のバランスを安定させ、停電などの事態を回避する。各社で調整している現行に比べてコストを抑えるとともに、天候に左右される再生可能エネルギーを受け入れやすくする狙い。

 先行して検討してきた中部、北陸、関西3電力で2020年4月から試験的に取り組む。地理的に離れている沖縄電力を除く北海道、東北、東京、中国、四国、九州各電力に徐々に広げる方針だ。経済産業省が計画している「需給調整市場」の創設に併せて、協議を本格化させる。

 需給の調整は、気候要因で冷暖房需要が増加したり、再生エネの供給力が低下したりした場合、各地域にある調整用の火力を稼働させるなどしてしのいでいる。9社が連携すれば、他の地域にある効率が高い発電所から、より迅速に安く電力を調達して過不足を調節できるようになる。

 大手電力はこれまでも緊急性の高い状況で電力を融通してきたが、平時の需給の安定化にも活用する。

 全国規模の融通の実現に向け、地域間接続でのシステムの正常な作動や、サイバー攻撃への対応など詳細な制度設計を官民で進める。東西で異なる周波数や地域をまたぐ送電の容量への対応も課題で、設備の増強を急いでいる。一方、東電は17年5月に策定した経営再建計画で原子力事業と並び、送配電の再編統合を掲げている。9社連携から、将来的に再編まで進展するのかも焦点だ。