石炭火力政策で溝、事業者計画に影 「脱却」図る環境省、新設急ぐ経産省 (1/3ページ)

地球温暖化対策について、経団連の榊原定征会長(左から2人目)らと意見交換する中川環境相(右から2人目)=16日午前、東京都内
地球温暖化対策について、経団連の榊原定征会長(左から2人目)らと意見交換する中川環境相(右から2人目)=16日午前、東京都内【拡大】

 石炭火力発電の新設をめぐり、二酸化炭素(CO2)排出削減を最優先する環境省が厳しい姿勢を鮮明にしている。安価で安定的な石炭火力を求める経済界は反発を強めており、両者の主張は平行線をたどる。環境省の姿勢は、エネルギーの安定供給や経済と環境の両立を重視する経済産業省とも溝があり、発電事業者の計画にも影を落としている。

 高効率化求め意見書

 中川雅治環境相は12日、中国電力が増設を計画する大型石炭火力発電所の三隅発電所2号機(島根県浜田市)の環境影響評価(アセスメント)手続きで、CO2の排出削減が進まなければ「建設は容認されるべきではない」とする意見書を世耕弘成経産相に提出した。

 意見書では、事業実施の条件として、低効率の火力発電所の休廃止や高効率化を求めた。三隅発電所の増設計画は出力100万キロワットで11月に着工し、2022年11月の運転開始を予定している。

 中川環境相は昨年8月にも、中部電力武豊発電所5号機(愛知県武豊町)で、具体的なCO2削減策を求める意見を出している。中部電の計画では、老朽化した石油火力を廃止し、22年に出力107万キロワットの石炭火力を稼働させる。

 このとき、経産省は環境省と足並みをそろえ、CO2の排出削減に取り組むよう勧告した。ただ、経産省は2カ月後に、中部電の環境影響評価書を承認。中部電は今年5月に工事を始める。経産省は中国電の計画に対しても同様の対応をとるとみられる。

石炭火力の新設を急ぎたい経産省