【開花した韓国事業 Jトラストの挑戦】(1)規制強化でも「日本式」が奏功 (3/3ページ)

「2018ファーストブランド大賞」で貯蓄銀行部門大賞を受賞し表彰状を受け取るJT親愛貯蓄銀行のジョ・ウォンジュン専務(右)=2017年12月18日、ソウル・ヨイド
「2018ファーストブランド大賞」で貯蓄銀行部門大賞を受賞し表彰状を受け取るJT親愛貯蓄銀行のジョ・ウォンジュン専務(右)=2017年12月18日、ソウル・ヨイド【拡大】

 文化融合にも配慮

 15年1月にグループ入りしたJT貯蓄銀は金利引き下げを見越した商品開発に知恵を絞る。16年6月に差別化商品として業界初の割賦金融商品を発売。チェ・ソンウク代表理事は「ポートフォリオの多角化の一環。小規模銀行だが、新商品投入にチャレンジしていく」と強調。その上で「スモールプロジェクトファイナンスの主幹事を取りたい。仕掛け中で今年後半には実現したい」と意気込む。

 顧客目線で、利便性の高い金融商品・サービスをライバルに先駆けて投入できたのは、Jトラストのスピードと柔軟性を持ち込んだためだ。マーケティングや法令順守の厳格化も日本流を取り入れた。千葉氏は「日本で取り組んできた全てのことを紙に書き出して試した」という。

 ただ、Jトラストのビジネスモデルを押しつけることはない。日本のノウハウ導入時に多くは抵抗なく受け入れられたが、韓国文化との融合にも気を配った。韓国人を進んで登用し、韓国人が好む終業後の食事や飲み会といったコミュニケーションにも日本人から積極的に加わった。

 Jトラストが発表した17年4~12月期決算で、韓国金融事業の営業利益は前年同期比58%増の30億円に膨らみ、18年3月期の通期予想は従来の32億円から35億円に上方修正された。厳しい規制の下でも成長を継続できる体質への転換を確信したからだ。韓国で開花した金融事業の成功モデルはインドネシアに引き継がれていった。(松岡健夫)

【開花した韓国事業 Jトラストの挑戦】(2)“日系貸金業者”の先入観に苦戦

 ■Jトラストの韓国金融会社

 (左から)業態/総資産/総与信/グループ入り時期/資本金/営業店数

 ・JT親愛貯蓄銀行

  貯蓄銀行業/2兆337/1兆6615/2012年10月/717/11

 ・JT貯蓄銀行】

  貯蓄銀行業/1兆618/8905/15年1月/999/4

 ・JTキャピタル

  割賦・リース業/6021/5356/15年3月/1080/6

 ・ティーエー資産管理

  債権回収業/1207/1697/14年3月/87.5/6

 ※総資産、総与信、資本金の単位は億ウォン。ティーエーの総与信は未返済元本残高。2017年12月末基準(営業店数は18年2月26日時点)