【高論卓説】革新の波、自動車産業は悲観的か 最新技術のキャッチアップが鍵 (2/3ページ)

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 CASEとは、独ダイムラーが2016年に定義づけた、「C=Connected(コネクテッド)」「A=Autonomous(自動運転)」「S=Shared(共有)」、動力源を示す「E=E-Mobility(電動化)」の4つのキーワードの頭文字をとった自動車のメガトレンドである。「CASE」がもたらすモビリティー革命は、クルマの価値、産業の競争力、付加価値連鎖に多大な変化をもたらすといわれる。

 自動車産業にとってモビリティー革命が避けられない脅威か、逆説的に好機となるのか、この将来は混沌(こんとん)としている。ただし、自動車産業が「CASE」対応へ出遅れれば、命取りとなりかねないことははっきりといえるだろう。

 ジュネーブでも、「CASE」対応へ全体的に取り組む企業戦略を盛り込んだコンセプトやプレゼンテーションにあふれている。同時に、ブランド、走りやサービスの体験、デザイン、モノづくり領域も含め、伝統領域での魅力と価値にチャレンジする精神が、バランスよく示された。

 独メルセデス・ベンツ、独フォルクスワーゲン、トヨタ自動車はそれぞれ異なる事業戦略に立つ。その中でも、「CASE」と伝統領域を両立させ、クルマの保有価値を高めようとすることでは一致している。これは、都市型の配車サービスを自社ビジネスに取り込みながらも、伝統領域のピックアップ事業を磨き込む米国メーカーでも考えは同じだろう。

都市型の配車サービスに注目が行きがちだが…