13年連続で過去最低を更新している国内ビール市場で、各社が一斉に新商品の投入を計画している。異例の動きの背景は今年4月からの酒税法改正。ビールの定義が変わり、果実やハーブを使った新商品が出せるようになるからだ。ビール各社首脳が「今年はチャンス」という取り組みの中身とは--。
本当に「今年はチャンス」なのか
2017年まで13年連続で過去最低を更新している国内ビール市場に、一筋の光が差し込もうとしている。酒税法改正でこの4月からビールの定義が大きく変わるからだ。
「今年はチャンス」--。国内ビール系飲料トップのアサヒグループホールディングス(HD)の泉谷直木会長は、1月半ば、今年の国内ビール市場の展望についてこう話した。アサヒだけではない。1月はビール大手各社が記者会見を開いてその年の販売計画を公表するが、各社の首脳も「チャンス」という言葉を発した。
2017年はビール系飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)の年間国内出荷量が前年を2.6%下回る4億407万ケースと、13年連続で過去最低を更新した。昨年6月にスーパーや量販店を対象に導入された「安売り規制」により価格が上昇したことが響き、ただでさえ進む「ビール離れ」に拍車がかかった。
ピークだった1994年の5億7316万ケースに比べると、2017年の出荷量は約3割も減っている。さらに、今年3月から4月には各社が10年ぶりとなる業務用ビールの値上げを予定しており、18年も右肩下がりの状況が続きそうだ。ところが、各社首脳は今年を「チャンスの年」と捉え、予想に反して明るい展望を掲げる。