力の差は歴然だった… 東京チカラめしが牛丼3社に“負けた”理由 (4/4ページ)

 こうして東京チカラめしは徐々に追い詰められていった。三光マーケティングフーズの有価証券報告書(14年6月期)では、苦戦する背景として「米国産牛肉等の主要食材の高騰、コンビニエンスストア等、業種を越えた企業間競争の激化、雇用環境の変化に伴う人員不足、さらには平成26年4月の消費税増税による収益力の低下」を挙げている。そして、同社は居酒屋業態に経営資源を集中させるため、東京チカラめしの業態を大幅に縮小させることを決定した。

 どんな戦略を打ち出すべきだったか

 東京チカラめしは、どのような戦略を打ち出すべきだったのだろうか。

 例えば、特定のエリアでニッチな商品で勝負する道もあったはずだ。大きくない商圏で独自の商品やサービスを提供することで堅実な経営を行う飲食チェーンは少なくない。都内の中央線沿いを中心に展開する飲食チェーンには、ボリュームたっぷりの料理を提供する「キッチン男の晩ごはん」や、もつ焼きを提供する「四文屋」がある。「焼き牛丼」というユニークな商品を武器にコツコツと店舗を増やす戦略もあった。

 ニッチなチェーンならば、店舗運営を大手牛丼チェーンとシビアに比較されることはない。多少店内が乱雑でも、「味わい」として顧客に評価される。

 現在、東京チカラめしは「ごはんおかわり自由!」を強く打ち出し、ボリュームのある定食や丼のメニューを強化している。しっかり食べたい客に向けた戦略が軌道に乗れば、再成長できるだろう。

 なお、東京チカラめしを運営する三光マーケティングフーズに編集部より取材を申し込んだが、回答期限までに連絡はなかった。