
2018年3月期連結決算について、記者会見するトヨタ自動車の豊田章男社長=9日午後、東京都文京区【拡大】
中期的な課題は、「100年に1度」といわれる変革期への対応だ。豊田氏は9日、「私はトヨタを『自動車をつくる会社』から、移動に関わるサービスを提供する会社に変えることを決断した」と強調した。
今年に入り、トヨタのサービス関連の動きは表面化している。1月には移動や宅配、ホテルなどさまざまなサービスに使える箱形の自動運転車両を米国で公表。サービス基盤の構築を目指し、米アマゾン・コムなどの有力企業5社と共同で2020年代前半に実証実験するとした。また、来年には東京都の販売会社4社を統合し、新会社を拠点にカーシェアリングに乗り出す。
これまでの事業の延長線上にはない新分野では、トヨタが培ったノウハウを十分に生かすことは難しい。しかし、豊田氏は、「モビリティー(乗り物)サービスに関わる現場では、トヨタ生産方式に基づくオペレーションを導入する」と説明し、サービス事業でも効率化の徹底などでトヨタの強みを発揮し、他のサービスと差別化する考えを示した。
ただ、自動運転やインターネットでつながる車(コネクテッドカー)を使ったサービスなどの次世代競争では、米アップルや米グーグルなどのハイテク世界大手が立ちはだかる可能性がある。豊田氏は「新たなライバルとなるテクノロジーカンパニーは、われわれの数倍のスピードで、豊富な資金を背景に新技術への積極的な投資を続けている」と危機感をあらわにした。