【高論卓説】フリーアドレスでモチベーションを刺激 行動スキルを高めパフォーマンス向上を (2/2ページ)

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 窓際の明るいところで仕事をしたい人もいれば、照明をある程度落とした場所の方が効率を上げる人もいる。周囲の人とコミュニケーションを取りながら仕事をしたいときもあれば、一人でじっくり進めたいこともある。人それぞれの多様な状況に応じて、より合致した環境で仕事ができれば、モチベーションが高まる。自分の状況は、他の誰でもない自分が一番よくわかっている。自分の状況に合わせた環境を設定しやすくなるので、パフォーマンスが向上しやすくなるのだ。

 能動性が上がり、モチベーションが高まり、パフォーマンスが向上するといっても、人にはそれぞれモチベーションファクター(意欲が高まりやすい要素)がある。変化に富み挑戦したい「目標達成」、独自に判断することを好む「自律裁量」、さまざまな人と協力したい「他者協調」の要素を強く持つ人は、フリーアドレスがなじみやすい。

 善しあしではないが、変化を好まない「安定保障」、バランスを重んじる「公私調和」、ステータスが気になる「地位権限」の要素が強い人は、フリーアドレスはなじみにくい場合がある。日本のビジネスパーソンのうち、フリーアドレスになじむ上記の3つの要素を強く持つ人は58%、なじまない人は42%だ(前述プログラム参加者1114人の調査)。

 モチベーションファクターは変えることができるので、フリーアドレスをはじめとする会社のワークスタイルが合わなかったら、自分のモチベーションファクターを変えればよい。

 あるいは、自分のモチベーションファクターに合致したワークスタイルをとる会社を選べばよい。このように考えると、多様な働き方に対応するワークスタイルを提供する働き方改革の打ち手は、パフォーマンス向上に間違いなく資する。

【プロフィル】山口博

 やまぐち・ひろし モチベーションファクター代表取締役。慶大卒。サンパウロ大留学。第一生命保険、PwC、KPMGなどを経て、2017年にモチベーションファクター設立。横浜国立大学非常勤講師。著書に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社)。55歳。長野県出身。