14年に、それまでの研究所から新しい柱づくりを担う事業開発推進部に移管、営業に重点が置かれるようになった。ターゲットは食肉加工業界で「油圧の課題を解決できるのは水圧」(同部水圧システムグループの大林義博氏)とアピール。顧客開拓に向けワタナベフーマックのほか、加工機械メーカーのマトヤ技研工業(鹿児島県曽於市)やインターマシン(香川県丸亀市)とも連携し食肉加工施設・工場などに売り込んでいる。
防水・防災設備にも水圧の特性が生きる。水門メーカー、宇根鉄工所(広島県東広島市)は11年に、ADSを使った水道水圧シリンダー式防水板「アクアシャッター」を開発した。
頻発するゲリラ豪雨や台風などによる浸水被害の防止に威力を発揮するという。宇根利典社長は「災害時の停電確率は断水より高く、電気は頼りにならない。しかも災害で動揺していても10人が10人、直感的に操作でき、力も不要」と説明する。
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■5年後「1500億円市場」予測も
突然の豪雨に襲われても、操作盤の「おこす」にレバーを回すと、水道の蛇口から出てくる水がシリンダー内のピストンを押して防水板の扉を起立させる。
断水時には備え付けの自転車用空気入れを使って誰でも扉を起こせる。