2012年7月に1号機が広島銀行に据え付けられたほか、広島信用金庫や民間マンションなどにも設置された。宇根氏は「水圧が活躍できる場は広い。われわれはキリの一穴にすぎないかもしれないが、どんどん空けていく」と意気込む。
水道の蛇口は身近にあるだけに水圧の出番は増えそうだ。介護の現場では入浴装置や段差解消機などに使われ、医薬品や化粧品、半導体などの生産工程でも導入が期待される。
初期投資が高いといわれるが、油漏れの心配がなく丸洗いできるといった保守・管理を考えると数年で回収できる。現状では油圧からの代替が多いが、「水圧のライバルはむしろ空気圧・電気。水圧メーカーの営業もようやく動き出した」と日本フルードパワー工業会ADS国際標準化推進室の宮川新平室長は指摘する。
市場開拓が本格化する中、当初予測より5年遅れたが23年に水圧機器の市場規模は1500億円になると読む。海外市場も有力で、水圧の可能性は広がるばかりだ。(松岡健夫)