両者は、どう違うのか。「お坊ちゃんは家柄とか学歴とかで目線を合わせているようなところがある」。一方で「超お坊ちゃん」は「人に上下の区別をつけない」と指摘する。「豊田さんはどんな人にも、ものすごく好奇心があるし、そこに本質を見たら生まれや地位にかかわらず、心を開く」
褒められたいという欲求がない
トヨタ自動車社内でテストドライバーの成瀬弘さん(故人)に弟子入りしたのはその典型。タレントのマツコ・デラックスさんともテレビ出演を機に仲良くなった。
人を肩書で判断せず、その分野に一番詳しい人と話そうとする姿勢は社内にも広く伝わる。業界は急速な電気自動車(EV)へのシフトや自動運転の登場で百年に一度の変革期にある。厳しい環境と向き合う社員が「この社長の下で頑張ろう」と思える求心力は単に創業家だから生まれるものではない、と阿部さんはみている。
章男社長が「兄弟のような存在」と呼ぶ友は「豊田さんには、今褒められたいという欲求がない。後世に評価を委ねるというのは、やはり超お坊ちゃんじゃないとできない」とも言う。
若いころはトヨタの創業家であることにある種のコンプレックスを感じ「名前を隠そうとしていた」という章男社長。公然と自身を「超お坊ちゃん」と称するようになった意味は、トークで起きる笑いとは違ったところにあるようだ。