
昨年10月に始まったパナソニックの自動運転EVの走行実験。中国では超小型EVの展開をめざす=福井県永平寺町【拡大】
自社が生産する車載電池の普及を見越して、中国で超小型の電気自動車(EV)に参入を決めたパナソニック。現地のEVメーカーと提携し、パナソニックの車載電池の性能をアピールし、国の強力な後押しで世界的な勢力を誇る中国の車載電池メーカーを向こうにまわして、世界のEV市場の中心になるマーケットで存在感を示したい考えだ。(中山玲子)
参入しやすいEV市場
車載電池を制する者が世界を制するとも言われるEV市場。EVは構造が複雑なガソリン車と違って、基本的には車載電池とモーターさえあれば動く仕組みだ。部品数もガソリン車が約3万点とされるのに対し、EVは約1万点と大幅に減少。このため、車載電池などを手がける電機、機械メーカーと自動車メーカーの垣根はEV普及によって無くなっていくと予想されていた。
こうしたなか、パナソニックは世界のEV市場の中心となりつつある中国で、商用車としての超小型EVという新分野に挑む。津賀一宏社長は「高い安全性が求められる一般車は自動車メーカーにお任せする」としたうえで、「スピード感ある中国を攻める」と強調。車載電池事業では、米テスラやトヨタ自動車が重要なパートナーになっていることもあり、現時点では自動車メーカーの主戦場である領域までは入らない考えだ。