【スポーツi.】テレビ局苦悩、高騰するW杯放映権料 「単独放送」の歴史持つテレ東中継断念 (2/3ページ)

セネガル戦の後半、同点ゴールを決める本田(4)。日本人選手初のW杯3大会連続得点となった=24日、エカテリンブルク(AP)
セネガル戦の後半、同点ゴールを決める本田(4)。日本人選手初のW杯3大会連続得点となった=24日、エカテリンブルク(AP)【拡大】

 確実に日本代表チームが出場する1次リーグの試合が放送される2局以外のTBSとテレビ朝日は決勝トーナメントの放送を4試合担当する。果たして各社の思惑と採算はいかがなものか。神にも祈りたい気持ちだろう。

 さて、この民放各局にテレビ東京がないのに気付いている視聴者はどれくらいいるだろうか。実は同局は1970年のメキシコW杯と74年の西ドイツW杯を単独で放送した歴史を持つ。そのときの放映権料も8000万円から2億円に高騰するものの、同社は単独でFIFAから購入して世界最高峰のスポーツイベントとはいえ、当時わが国では人気のなかったサッカーを伝えた功績は大きい。その後も放映権は大会ごとに高騰し、本大会では600億円といわれている。

 テレ東は中継断念

 既に1局で購入できる金額ではなく78年からアジア太平洋放送連合(ABU)に、2002年からはジャパンコンソーシアム(JC)が電通経由で購入。前回ブラジル大会では放送権料総額2000億円のうち25%がJCだという。この高騰する放映権料に民放各社は10年南アフリカ大会から赤字を計上する。そして本大会でも赤字確定との噂が飛び交う中でテレビ東京はついに中継を断念した。今回の長時間番組の編成は、既存各社の採算に向けた戦略であろうか。「コマーシャル枠を増大させてタイムセールスを強化するが、その番組セールスは大手広告代理店の独占のようだ」(関係者)という。わが国特有のメディアスポーツビジネス構造が見て取れる。どこかで歯止めが必要ではないか。

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