
実験店「ファミマ立川南通り店」はタワー型陳列棚などドンキの手法を取り入れた=東京都立川市【拡大】
実験店ではこうした陳列によって商品数も当然増え、改装前の約1.5倍に相当する5000点に膨らんだ。このうち、ドンキからの供給商品が2800点と半分以上を占め、中身もドンキ化した形だ。
特に若者や女性客の需要を積極的に取り込むため、菓子の商品数を従来比で3倍に拡大。商圏のユーザーの嗜好(しこう)を踏まえ、加工食品や日用品、酒を充実させたのも特徴だ。
ただ店内はドンキの特徴である「迷路」は再現しておらず、動線は直線的。うろつきながら好みの商品と出合い、買い物の楽しさを再発見させてくれる体験は本家本元でないと難しいだろう。会社の出勤前や昼休みに来店するコンビニ客は目当ての商品を速やかに購入したいというニーズがあり、ドンキの客層とはやや異なるからだ。
実験は立川店を含む都内の直営3店舗で実施され、来店客数や売り上げ動向を綿密に調べ、今後拡大するか検討する。
両社は昨年8月に資本・業務提携した。「現状の改革」を目指し、具体的な試みとしてこの実験に着手した。
昨今、ファミマを含むコンビニ業界は来店客数の伸び悩みに苦しみ、コンビニ離れというべき事態に直面している。
日本フランチャイズチェーン協会によると、今年5月のコンビニ既存店の来店客数は前年同月比2.5%減を記録し27カ月連続のマイナスだった。コンビニが得意とする食品がドラッグストアでも扱われるようになり、24時間化も進む。インターネット通信販売の普及も加速するなど、コンビニの事業環境は厳しさを増す一方だ。
形態店舗続々と
ファミマのライン運営事業部の今木誠部長は実験店舗のオープン初日、「(新たな取り組みによって)コンビニから離れている人に戻ってきてもらいたい」と率直に語った。つまりドンキの力を借り、巻き返しの一打とする構えだ。