ギフト業界“冬の時代” 共同仕入れの全通が事業停止 冠婚葬祭や社会の変化で凋落 (2/4ページ)

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 全国津々浦々に存在する地場のギフト販売業者は、地域の結婚式場、葬祭業者、有力企業などに太いパイプを持つ。だが、規模や資金力で劣勢を強いられている。そこで全通の加盟店になることで、商品の仕入力や単価メリット、業務簡略化による経費節減が見込めた。

 JGCと全通は、「1県に1加盟店」を目標に掲げ、ピークの1999年3月期の売上高は約60億円を計上。全国に約50社の加盟店を抱えるギフト業界の一大勢力に成長した。

◆式典の多様化、周辺業界の攻勢に太刀打ちできない

 ところが2000年代に入ると様相が一変する。ギフト需要が減少し、加盟店の業績悪化に伴い、全通の経営も一気に悪化をたどった。

 背景には市場の縮小やギフトの多様化がある。少子高齢化社会の到来で、葬儀の数は増えても密葬や家族葬が増え、法事の引き出物の需要は伸びない。結婚式や各種式典も同様で、中元、歳暮の類はいうに及ばずだ。簡素化の風潮が広がり、市場は冬の時代を迎えた。

 同時に、消費者の嗜好も変化し、ギフトも食事や温泉、乗馬など、かつてなかった体験型ギフトが浸透していった。さらに大手流通業者や感度の高いセレクトショップなどがギフト商材に本腰を入れ、加盟店の大部分を占める従来型のギフト販売業者では太刀打ちできなくなった。

 こうした急激なニーズの変化で、全通の2017年3月期の売上高は34億9000万円まで減少、約20年間で売上高は半減した。この間、「13社の加盟店が倒産し、12社が脱会した」(説明会)という。加盟店の減少で営業保証金の返還も相次ぎ、全通の資金繰りを悪化させた。

加盟店の資金支援で身動きとれず